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投稿日: 2022年10月7日

【パチサミ公式コラム】パチスロライフサイクル『揺りかごから墓場まで』:終活編

パチスロ機が生まれてファンのみなさんに楽しんでもらいその生涯を終える、という一連の流れを「揺りかごから墓場まで」と題したコラムの後編です。前編は「パチスロ揺りかごから墓場まで:誕生編」をご覧ください。

前編ではホールでの稼働を迎えるまでをご紹介しましたが、今回は稼働を終えてから廃棄・リサイクルに至るまでを「終活編」と題してお送りします。パチスロ機の終活は大きく「中古流通」、「保管・店舗間移動」、「リサイクル・廃棄」に分かられます。

遊技機の撤去と処分方法

遊技機が新台として稼働を開始して以降、いずれは移動や撤去の時を迎えます。中古遊技機としての利用や廃棄など、その流れは以下のとおりです。

パチスロ台が納品されたホールから流通する過程としては「メーカーによる下取り」「中古遊技機を取り扱う登録販売業者(販売業者や中古業者)による買取り」「処理業者への排出」などがあります。そこから素材のリサイクルや部品のリユースなどに進みます。

まずは「中古流通」についてご紹介していきます。

中古遊技機の取り扱いについて

中古遊技機の取り扱いは、ファンの方々が想像されているのよりも実は厳重に管理されています。

中古遊技機にはメーカーが取り扱うケースと登録販売業者が取り扱うケースの2つがあります。主流は後者の登録販売業者が取り扱うケースになります。

中古遊技機に関する業務は、業界6団体(全日遊連・日遊協・日工組・日電協・全商協・回胴遊商)で構成されている「中古機流通協議会」が定めた、「中古遊技機流通健全化要綱」、「中古遊技機取扱業務実施要領」、「遊技機の認定申請に関わる業務の実施要領」などにより管理されています。

この趣旨は「型式の保全」、「不正防止・責任の明確化」です。ホールに不正に改造された遊技機が紛れ込む原因の一つに中古遊技機流通があり、それを防ぐために協議会やルールが設けられました。

中古遊技機の流通

上記のルールを元に行われている中古遊技機の流通は、大きく分けて「1.遊技台の撤去」、「2.撤去された中古遊技機の点検・保全措置」、「3.保証書の発行」、「4.納品された中古遊技機の設置・確認」に分けられます。

1.遊技台の撤去

ホールから遊技機を撤去する場合、まずホール側で「撤去遊技機明細書」を作成する必要があります。その後、中古移動をする場合は「中古遊技機確認書」を作成し、中古遊技機移動の依頼をします。なお、遊技機が設置されたままの状態で手続きを進めることは出来ません。この中古流通や移動に必要な「撤去遊技機明細書」、「中古遊技機確認書」は、移動元のホールにて用意します。

2.撤去された中古遊技機の点検確認・保全措置

中古流通をさせる場合は中古遊技機を取り扱う登録販売業者に中古移動を依頼します。登録販売業者は中古遊技機が保管されている場所に出向き、点検確認の後に保全措置を行います。他にもチェーン店間の店舗間移動というケースもあります。

保全措置とは、パチンコ機ならばビニール包装後に、パチスロ機ならば鍵穴を覆うようにセキュリティシールを貼付します。こうした保全措置が行われた中古遊技機を主に登録販売業者が預かることで、中古流通の準備段階が終了します。

3.保証書の発行

登録販売業者はホールと「保管・納品確認書」を取り交わした上で、遊技機を保管します。そして「保証書」、「主基板保証書(必要な場合のみメーカーに依頼)」を作成し、地区遊商(※)または回胴遊商に提出します。申請を受けた遊商は、打刻した保証書(打刻書類)と確認証紙を登録販売業者に発行します。その後、公安委員会に提出する流れとなります。

※地区遊商:全商協(全国遊技機商業協同組合連合会)に所属している地区ごとの遊技機商業協同組合

4.納品された中古遊技機の設置・確認

登録販売業者は中古遊技機移動先のホールに納品します。納品時には保全措置やセキュリティシールの状態が確認され、問題がなければシール剥離の上で開梱されます。ホール管理者は各書類や中古遊技機を確認し、保管・納品確認書に署名します。

最終確認として、登録販売業者の遊技機取扱主任者とホール管理者が立ち会って点検確認を行います。点検確認に問題がなければ、パチンコは「中古ぱちんこ遊技機等点検確認受渡書」、パチスロは「中古回胴式遊技機点検確認受渡書」にホール管理者が署名・捺印します。この段階でいわゆる中古流通が完了となります。

その他:介護施設などへの寄贈

ホールから特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護施設への中古遊技機の寄贈、デイサービスや福祉施設向けレンタルなどへの流通といった例もあります。また、福祉機器事業としてレクリエーション機器を販売しているメーカーもあります。レクリエーション・機能訓練・認知症防止などを目的とされたもので、遊技機が福祉に役立ち社会貢献の一環につながる例として注目されています。

チェーン店での店舗間移動

同一の営業者によって営業されている店舗間での移動、いわゆるチェーン店間で中古遊技機を移動する場合は、公安委員会へ変更承認申請をすれば可能です。

ただし、遊技機の「検定」には3年間という有効期間があります。それ以降も遊技機を稼働させたい場合は、改めて「認定」を受ける必要があります。登録販売業者が行う認定に関する業務は、中古機流通協議会が定めた「遊技機の認定申請に関わる業務の実施要領」に従って行う必要があります。検定と認定に関してはこちらの記事で詳細を確認できます。

そして、認定を受けた遊技機(以下、認定機)の移動設置は「同一都道府県の区域内に所在し、かつ、同一営業者の営業所の間に限る」という規定があります。これにより認定機は中古流通に回すことはできず、たとえチェーン店間であっても移動は同一都道府県内に限られます。

廃棄・リサイクルの仕組み

中古流通を含めホールで遊んでもらう使命を終えた遊技機は、使用済み遊技機として排出されます。ただし、それは安易に廃棄されるわけではなく、定められたルールの下に行われています。

使用済み遊技機の適正処理

遊技機の処理方法については、業界6団体や主要メーカーおよび愛材協(愛知県遊技機材料協同組合)で構成される遊技機リサイクル推進委員会が発行した「遊技機適正処理ガイドブック」に定められ記載されています。

遊技機適正処理ガイドブックに記載されている排出方法については、推奨経路として以下の方法があります。

1.メーカーによる下取り・買取り
2.遊技機リサイクル選定業者への売却・排出
3.日工組遊技機回収システムの利用
4.遊技機リサイクル協会システムへの利用
5.登録販売業者への依頼

1.メーカーによる下取り・買取り

遊技機メーカーは、遊技機のライフサイクルにおいて再資源化を目指し、部品の回収再利用を行っています。使用済み遊技機の下取り・買取りを積極的に実施し、廃棄物の削減効果だけでなく、地球環境の保護や限られた資源の有効活用を図っています。

2.遊技機リサイクル選定業者への売却・排出

リサイクル推進委員会が書類審査や必要に応じた現地調査によって、使用済み遊技機のリサイクルを適正に行うことができる処理業者を「遊技機リサイクル選定業者」として選定しています。2022年6月現在、22社が選定されています。

3.日工組遊技機回収システムの利用

2003年から関東地区を対象として始まり、2005年から日本全国に拡大、廃棄物広域認定制度(環境省所管)による広域認定を取得して2010年にスタートしたシステムです。日工組が中心となり傘下組合員の協力により構築された、使用済み遊技機の回収や処理を行います。2021年11月現在、35社のメーカーが参加しています。

「下取回収(メーカー指示機種の回収)」「広域回収(産業廃棄物扱い)」「買取回収(有価物としての買取)」の3種類の方法があり、処理費用は当該メーカーが負担します。くわしくは日工組遊技機回収システム公式HPをご覧ください。

▲日工組遊技機回収システムの流れ(公式HPより)

4.遊技機リサイクル協会システムへの利用

2002年に首都圏遊技機リサイクルシステムをモデルケースとして開始して2007年に設立しされました。2021年11月現在、全国41の遊技組合・33のパチンコ遊技機メーカー・49のパチスロ遊技機メーカーが参加しています。また、遊技機リサイクル選定業者のうち13社が指定処理業者として参加しています。

液晶ユニットについては買い取りが行われ、参加メーカーの使用済み遊技機の排出については解体費用をメーカーが負担しています。くわしくは遊技機リサイクル協会公式HPをご覧ください。

▲遊技機リサイクル協会システムの流れ(公式HPより)

5.登録販売業者(全商協又は回胴遊商の組合員)への依頼

使用済み遊技機は、中古遊技機の販売資格を有する登録販売会社に依頼して、適切な管理の下で排出することが可能です。

一般的にリサイクルと言われている内容は、「パーツリサイクル(リユース)」「マテリアルリサイクル」「サーマルリサイクル」に分けられ、それらで再利用できない物が廃棄されます。2003年には63%だったリサイクル率も、2020年度には93.9%と非常に高い数値となっています(2021年11月発行「遊技機適正処理ガイドブック」より)。リサイクルは選定業者による解体・選別から始まり、部品別の処理業者によって再利用に回されます。


『パチスロライフサイクルゆりかごから墓場まで』と題して、パチスロ機が生まれてから使命を終えるまでを追いました。今回の記事で全てを網羅出来ているわけではありませんが、型式試験・検定などのチェックを受けてようやく世の中に登場し、中古機流通も厳格に運用されています。そして全ての使命を終えてもメーカーや組合によって、責任をもってリサイクルや廃棄処分されます。

運用面において現在でもアップデートされ続けている部分もありますが、不正などが入り込む余地がないほど厳格なものになっていることがわかります。幅広い分野の企業がパチスロに携わっているにも関わらず、組合などに加盟、取り決めを守ることで足並みが揃い、安心で安全な遊技環境が創出されています。

前編である『パチスロライフサイクルゆりかごから墓場まで:誕生編』もあわせてご覧ください。

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