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投稿日: 2022年8月26日

【パチサミ公式コラム】パチスロと法律(風営法・風営法施行規則・遊技機規則など)

今回はパチスロ(回胴式遊技機)に関わる法律を紹介したいと思います。大前提としてパチンコ・パチスロは法によって管理されている遊技機を、法の下で認められた場所・建物で遊技する。このようになっています。


パチスロに関わる法律はどこからどこまで?

ホールが守るべき法律

パチンコホールの営業は、風営法(ふうえいほう:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律。風適法とも呼ばれる)によって規定されております。風営法といえば、性風俗などを想像される方もいらっしゃるでしょうが、世俗・風習という意味で、風営法の範囲は多岐にわたっております。

風営法第2条において、風俗営業とは、同条第1項各号(1号~5号)のいずれかに該当する営業をいう、とされております。列挙すると以下表の通りになります。

1号営業キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて
客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
(キャバレー・パブ・スナック・キャバクラなど)
2号営業喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、
国家公安委員会規則で定めるところにより計った客席における照度を
10ルクス以下として営むもの(低照度飲食店と呼ばれ、暗めのバーや居酒屋がこれにあたる)
3号営業喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、
他から見通すことが困難であり、かつ、
その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
(区画席飲食店と呼ばれ、ネットカフェや個室居酒屋がこれにあたる)
4号営業まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて
客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
(パチンコホール・雀荘など)
5号営業スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で
本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に
用いることができるもの
(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗
その他これに類する区画した施設(旅館業その他営業の用に供し、
又はこれに付随する施設で政令で定めるものを除く。)において
当該遊技設備により客に遊技をさせる営業
(ゲームセンターなど)

パチンコホールは、この4号営業に該当します(元々は7号営業に分類され、2016年6月の風営法改正で4号へ)。風営法は、第1条でこの法律の目的を「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。」と定めています。

そこで、営業所(パチンコホール)ごとに、あらかじめその営業所を管轄する公安委員会(警察を管理する行政委員会)から営業許可を受けなければなりません。また、この風営法の中には営業所の制限地域(学校の近くや、各都道府県の条例で定めた周辺の地域など)や構造・設備に関する規定もあり、それらを遵守しなければ営業の許可を受けられない。このようになっております。

営業時間についても風営法で「深夜0時から午前6時までは営業を禁止する」と規定されています。実際の営業時間に関しては各都道府県の条例で制限されていて、地域ごとにその制限内で営業をしています。

つまり、パチンコホールの営業でまず守るべき法律・規則は、風営法と各都道府県の条例となります。

メーカーが守るべき法律

メーカーが製造する遊技機も、風営法によって管理されています。パチンコホールで設置許可を得るためには「著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則(施行規則)で定める基準に該当する遊技機以外の遊技機」でなければなりません。少しややこしいかもしれませんが、このような形になります。

風営法善良の風俗と清浄な風俗環境を保持する理念・基本
風営法施行規則著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準
遊技機規則遊技機の構造・性能等の技術上の規格

「風営法」にておおまかに遊技機に対する基本や理念が定められ、「風営法施行規則」で著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準が規定されています。その風営法施行規則で定められた基準を超えないような構造・性能となるように「遊技機規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)」というルールが存在します。その遊技機規則をどのように読み解くかの解釈基準も警察庁から示されております。

法律ではありませんが、業界内の自主規制(内規)も存在します。結果として、遊技機規則と業界内の自主規制を遵守すれば、施行規則で示されたアウトという基準を踏み越えることはありませんし、風営法の理念を守ることになる。このような形となります。


ユーザーが守るべき法律

風営法にユーザーの行動に関わる部分もないわけではありません。が、基本的にペナルティを受ける対象が営業者(パチンコホール)かユーザーかに関わらず、それにつながる行為はハウスルールとして禁止されています。そのハウスルールで禁止されている行為には、その他の法律で罰せられるものもあるので注意しましょう。

例えば、玉・メダルの持ち帰り。これは窃盗罪や横領罪に問われる可能性があります。また、玉やメダルの持ち込みは、建造物侵入罪や詐欺罪にあたる可能性があります。どちらもほぼすべてのパチンコホールでハウスルールとして禁じられているので、ハウスルールを守ることが、そのまま法令を遵守することに繋がります。


パチスロと法律の解説

パチスロ遊技機規則改正の歴史

1948年
(昭和23年)
・風俗営業取締法の制定
1954年
(昭和29年)
・風俗営業に「パチンコ」を追加
1984年
(昭和59年)
・風営法へと大幅改正
・パチスロ1号機基準制定
1988年
(昭和63年)
・2号機の登場
1990年
(平成2年)
・3号機の登場
1992年
(平成4年)
・4号機の登場
2005年
(平成17年)
・5号機の登場
2018年
(平成30年)
・6号機の登場
2022年
(令和4年)
・11月にスマスロ登場予定

昭和23年(1948年)に制定された「風俗営業取締法」が、昭和59年(1984年)8月14日に大幅改正(施行は1985年2月13日)されて、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)となり、パチスロも全国統一の規格(遊技機規則)が制定されました。法の下での運用ということで、ここを1号機と呼びます。

それ以前のパチスロ機は、各都道府県の公安委員会より許可を受けられたら設置できる、というもので地域差があって然りの形でした。1号機以前となるので、この大幅改正の前に登場した機種は0号機と呼ばれております。

3リール以上で21コマ以内、リールの回転速度の上限など、今も変わらぬ基本は、昭和59年の風営法で定められたものです。そこから不正基板(俗にいう裏モノ)対策や射幸性の見直しなどで遊技機規則以上が改正されること累計5回。その都度、2号機(1988年登場)、3号機(1990年登場)、4号機(1992年登場)、5号機(2005年登場)、6号機(2018年登場)と名称が変化しています。

ちなみに6.5号機など小数点以下など数字は、自主規制(内規)の変更で進みます。詳細は、こちらの記事を参照していただければと存じます。


遊技機規則・解釈基準・内規について

風営法が「このような世の中にしましょう」という理念で、施行規則で「このような遊技機はダメ」と示しています。では具体的にどのような遊技機であれば良いのか。その具体例を示しているのが、遊技機規則とその解釈基準、そして業界団体で作成する自主規制(内規)となります。

ここまでも複数回登場している“遊技機規則・解釈基準・自主規制(内規)”というワードから。遊技機規則は、リアルボーナスで払い出せるメダルなどの数や、許されるメダルの出玉率の幅だけでなく、3リール以上で21コマ以内であったりリールの回転速度の上限。配置できるボーナス図柄の数(割合)などこと細かに決められているものです。

昭和六十年国家公安委員会規則第四号 遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」の中の別表で、インターネットではe-govにも掲載されており、これが改正されると官報にも掲示されます。

ということで、遊技機規則も法律文章。中にはアウトなのかセーフなのか分からないケースも出てきます。その指針を示す1つが、警察庁発表の解釈基準。こちらは警察庁のHPで公開されております。なお、遊技機規則が改正されなくても、解釈基準だけ改正されることもあります。

最後に自主規制(内規)。こちらは業界団体で当サイトを運営している「日電協(日本電動式遊技機工業協同組合)」及び「日工組(日本遊技機工業組合)」が検討・作成しています。法律とは異なりますが、現場に近い業界団体が作成することから、より具体的な内容が多くなります。6.5号機となったのも内規の変更があったからです。

法律である遊技機規則では、ボーナス払出し枚数上限や出玉率の下限上限など大きな枠組みが定められ、内規ではより細かい項目が定められている、ということになります。


パチスロ型式試験と検定・認定について

▲ホール設置までに通る試験の流れ

ここまでパチスロに関わる法律を解説してきましたが、実際に開発されたパチスロが法律を守って作られているか、をチェックする機関と試験が存在します。それが「型式試験」と「検定・認定」と呼ばれるものになります。

パチスロ型式試験について

型式試験とは、遊技機が遊技機規則に則って作られているかどうかをチェックする試験になります。この試験に合格することを適合、不合格になることを不適合といいます。この試験に適合することで、後述する検定(ホールに遊技機を設置するために必要な手続き)を受けるために必要な書類を受領することが出来ます。つまり型式試験は必ず受けなければならない試験であり、適合した遊技機のみが検定申請に進むことができます。

型式試験は、国家公安委員会があらかじめ指定する”指定試験機関”に行わせることができるとされており(風営法20条5項)、都道府県公安委員会が試験事務の一部を委託しています。この”指定試験機関”が一般財団法人保安通信協会(保通協)一般社団法人GLI Japanです。国家公安委員会が指定試験機関を指定し、都道府県公安委員会が指定試験機関に業務委託している、という流れになります。


公安委員会と検定について

メーカーは型式試験に適合後、必要書類を揃えて設置したい都道府県公安委員会に申請書を提出し、”検定”という許可を受けなければなりません。その地域の検定を受けていなければ、その地域に設置することはできません。また、よく聞く言葉として”検定”と”認定”とありますが、これらの違いは下記の通りです。

検定ホール所在地を
管轄する公安委員会に
主に製造メーカーが申請する
(遊技機規則第7条)
認定ホール所在地を
管轄する公安委員会に
ホール(風俗営業者)が申請する
(遊技機規則第1条)

という違いがあります。過去の事例として、一部の地域にだけしか設置されていない遊技機がありましたが、これはその地域では検定申請を行っていなかった、などの理由が考えられます。 

少し話は逸れますが、国家公安委員会とは「国民の良識を代表する者が警察を管理することにより、警察行政の民主的管理と政治的中立性の確保を図ろうとするもの」です。つまり警察庁を管理しているのが国家公安委員会になり、規則やルールなどの根源となるものを制定します。都道府県公安委員会は警視庁や県警本部を管理し、検定や取締などを行っています。

検定の設置期限と認定、みなし機について

このような流れで、型式試験に適合し、公安委員会から検定も受けて新機種は設置されます。検定の期間は3年。この期間内であれば、遊技機を営業所内に設置することができるとともに、仮に遊技機が故障した際など、遊技機の性能が変化しないように部品交換を行うことができます。

3年の期限を迎えてしまったけど、人気の機械なのでまだまだ残したい。そのような場合は、その台を稼働させているパチンコホールが、台ごとにその期限の延長を申請することもできます。これを認定と言います。認定の申請が認められれば、さらに3年間設置が可能になります。認定期間中も検定期間中同様、部品交換を行うことができます。

認定及び検定の有効期限が切れてしまった遊技機は、俗にみなし機と呼ばれることもありますが、認定や検定の有効期間が切れてしまった遊技機は、パチンコホールに設置し、営業に用することはできないこととなります。

みなし機は一斉撤去や取締の対象になることもあります。みなし機一斉撤去は、4号機から5号機への移行時に行われました。この時は2007年7月31日をもって、4号機及びみなし機が一斉撤去され、5号機時代へと完全移行しました。

最近の例を出しますと、6号機基準が2018年に発表、6号機時代を迎えるにあたって、2019年の年末に検定・認定の切れた機種が一斉に撤去。以降も検定期間が切れるタイミングごとに機種が撤去されていきました。検定が切れた台は、その時点で認定を取ればまだ設置できるではないか。そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、2018年2月1日に6号機となる遊技機規則が施行されておりました。

既に異なる規則となっているため、5号機の認定申請をすることはできません。現行の規則とは異なるのですから、検定・認定の切れた機種はいつまでも設置し続けないことが望ましい。このような経緯があって、5号機は徐々に検定・認定が切れ次第撤去されていき、2022年1月31日に完全撤去(一部エリアを除く)となりました。



このようにパチスロに関する法律は「風営法(風適法)・風営法施行規則・遊技機規則(解釈基準)・都道府県条例」が存在し、それが守られているかをチェックする試験「型式試験・検定(認定)」が存在する、ということになり、これらにより、安心・安全に遊技を楽しめる環境が作られているということになります。

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